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作品ギャラリー:2008年「石原美歩書展」

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作品ギャラリー:2008年「石原美歩書展」

 
会期:平成20年4月12日(土)〜4月18日(金)
会場:山梨県立美術館
 
山動く

山動く

個展を決めた時の作です。
迷いました。こんな私が個展をしてよいものかと‥・。
ある方からの一言「山は動かないのではありません。山は動くのです。石原さん、山を動かしてください!」と。
心に池染み渡りました。
決意の一枚。
筆に超濃墨をたつぷりと含ませ、思いのままに筆を走らせました。
(180×180cm)
 
与謝野晶子の詩「そぞろごと」より

与謝野晶子の詩「そぞろごと」より

この詩は、弟子の一人から「先生!先生の山動くの言葉に通じるような詩があります。」と教えていただいた。読んだ瞬間に書きたい!の衝動に突き動かされた。
「明治時代の女達よ、時代は変ったのだ動き始めよう。」日本で初めての女性だけの文芸誌「青鞜」の巻頭に寄せた与謝野晶子の詩です。
個展に立ち向かっている自分への応援歌のように思えました。
最初は横長の紙に縦書きにしていたのですが、冒険したくなり渦巻きで表現しました。
「どこから、どうやって書いたのですか?」
質問の多かつた作品。外から自分が回って書きました。
(180×192cm)
 
想いを込めて

想いを込めて

何か自分の言葉で作品を残したい。
今の想い、気持ち、今までの自分…。
読めなくてもいい。ただ、書きたいと。
原稿も作らずに、頭の中の言葉を、頭の中の設計図で作品として表現した。
不思議なことに、この作品の前で涙している方が大勢いらっしゃった。
作家としてありがたい事。私の想いが書を通じて見てる方々に伝わった。
私の真実の想い。心の中をみんなに覗かれて、とても恥ずかしい作です。
(300×780cm)
 
固

何の計画もせずに個展に踏み切った。
作家であるならば溢れんばかりのアイデアがなくてはいけない。
単純に気持ちを固めた。
決意した時のエネルギーはその時でしか表現できない。
(180×180cm)
 
高村光太郎の詩 「道程」より

高村光太郎の詩 「道程」より

子どもの頃、本棚に黄色い表紙の本があった。読んでも全然理解できない。
母が買ってくれた本である。
題は「智恵子抄」
レモンの哀歌が好きだと母は言っていた。
狂気して行く妻智恵子への愛。年が経ってやっと少し理解できた気がする。
そんな高村光太郎の「道程」
一人になっても書の道を進まなければ!
師からの言葉がなくなって三年。
この道を歩いていこう。
(97×240cm)
 
結實

結實

親友からの応援メッセージの中に「結実」
この言葉があった。
彼女はライターの仕事をしている。
私にとつては自慢の友人です。
そんな彼女のプログでの一言「神さまが降りてくるごとく言葉を紡いでいる」と。
私も神に願う「一枚でいいのです。書かせて下さい」と。
「結実」はまだまだ遠い先にある。
未完成の「結實」反省の作。
(120×210cm)
 
願

横長の形が自然の「願」を縦長に表現してみた。
挑戦してみると新しい発見もあるが、やりすぎたかな?の感もある。
個展のおもしろさは、自分勝手に、自分の好きな言葉を、自分の思いの形に表現する事がたくさんできる。
遊びと実験の作です。
(210×90cm)
 
山頭火の句 「ふるさとのことばのなかにすわる」

山頭火の句「ふるさとのことばのなかにすわる」

今から十七年前の支部展でこの言葉に出会った。私がもう一度筆を持ち始めた頃である。
私の生まれ故郷は広島。
両親にはまだ訛が残っているのだが、山梨で育った私に広島弁はない。
しかし広島に帰ると一転!その土地の青葉に染まる。
「ほーじやけーのー。ほーよねー。」
どんなに時が経っても忘れる事のない故郷の言葉。この言葉に囲まれた時の幸福感は、故郷を離れた者にしかわからないのかもしれない。
(180×180cm)
 
千載

千載

「千載一偶」
(千年に一度しか遭えないような)めったにない好機会。
この言葉を書いていた。
私の線は曲が多いので、あえて直での表現を狙って書いたのだが、力も発想力も乏しい自分との葛藤!
「千載」この二文字で落ち着いてしまった。
今回の作品の中で千の縦画は一番納得できた線である。
自己満足だが。
(180×90cm)
 
臨伊都内親王願文

臨伊都内親王願文

私の書の故郷「伊都内親王願文」
迷った時などすぐに頼ってしまう。
十九才の時にこの法帖に出会った。
虜になつたのが二十一才。その時買った法帖はボロボロである。
子育ての途中でもう一度筆を持った時、この願文を臨書して独立展に出品した。
あまりにも情けない。どうしていいのかわからない。
翌年もう一度臨書して出品。
都立美術館で、田中常貴先生に見ていただいた。
「もう一回勉強やり直しだ!」
その言葉で弟子入りした。
今でも好きでたまらない「願文」
芸術祭賞の作はこの中の一文字「遂」を作品にした。
(180×1340cm)
 
蕾

コブクロの「蕾」
亡き母を想う名曲である。
学生時代バンドのボーカルをしていた。
一時は真剣にプロになりたいと思っていた時期もある。
私の書活動に音楽は切り離せない。リズムがなくては書の表現は出来ないと思っている。
「蕾」を聞きながら、私の花はまだまだ咲かない。
しばらくは蕾だよなー などと思いながらの作です。
(135×105cm)
 
ちぎれ雲

ちぎれ雲

私には師がいない。
大きな雲から離れてしまった「ちぎれ雲」
個展を決意しても私を手伝ってくれる社中の仲間は一人しかいない。どうしよう・・・。
だけど助けてくれる人達が集まってくれた。
印刷屋さん、書道用具屋さん、表具屋さん。
そしてたくさん動いて手伝ってくれた私の弟子達。
みんなありがとう。
私の師から教えていただいた事全てを、今度は弟子達に伝えて行かなくては。
これからは「ちぎれ雲」の私が大きくなって、自分の社中を作っていこう。
(90×180cm)
 
慎

【2005年毎日賞受賞作】
旧作を出品するのはやめようと思っていたが、もう一度この毎日賞受賞作「慎」に逢いたかった。
亡き師に選んでいただいた最後の作品である。
吉報を伝えに、病の床に伏せていた師の元へ行きました。
「先生!訪中団に選ばれました。ありがとうございます。」
「よかつたな、楽しんで来いよ。」
これが最後の会話でした。
私の世界を広げてくれて、幸せな時間をたくさんくれた「慎」
先生ありがとう
ヘボはまだまだヘボをやってます!
(105×135cm)
 
地

【和紙作家 深沢修さんとのコラボ作品】
和紙作家 深沢修さんとのコラボ作品。
円形の和紙そのものが作品である。
他人の作品に、私の作品を加えてどうなるのか!
立体的な表現されている和紙に「地」の一文字。
深沢さんと私で「地球」になればと思い、筆を迷わず進めて書いた。
厚い和紙の墨の吸収力はすごく、どんなに筆に含んでもあつという間になくなってしまった。
紙の力で何倍にも表現力が高まった作。。
(180×180cm)
 
落花流水

落花流水

アジア雑貨の店で、すてきな色のインドシルクのマフラーを見つけた。
広げてみると水の波紋のような柄がとても気に入った。
その布の模様を見ていて「落花流水」の言葉が浮かんだ。
シルクの布をそのまま軸に仕立てていただいた作。
(61×17cm)
 
臨隅寺心経

臨隅寺心経

昨年の八月、師匠の三回忌に師の幸せを願って隅寺心経の臨書をした。
私の親族は遠方のため、幸せなことに身近な人が亡くなって行く姿を見ることがなかった。私にとって、始めて身近な大切な人を失ってしまったのが師であつた。
人が骨になってしまう衝撃は、今も脳裏から離れない。
生前「お前は実用書道が下手だ!」と怒られた。
その頃よりましな細字が書けるようになったと思っている。
(56×75cm)
 
臨楽毅論

臨楽毅論

十九才の頃、授業で半紙に原寸の楽毅論を書いた。
その時、担任だつた田中先生から「A」をいただいた。
いつも怒られてばかりだつたので、A評価が無性に嬉しくて、今でも大事にしまってある。
いつかは全臨したいの想いから二十年後、絹本に書きました。
今の私には一気に書き上げる自信はないかも‥・。
夏休みの暑い中、まだ小学生だった息子達が大騒ぎしている事も耳に入らず、一心不乱に書き続けていた記憶が蘇る。
(48×167cm)
筆に想いを込めて 書家・石原美歩
 
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